2007年8月16日木曜日

奈良旅番外編 阿修羅像と対面する編


さて、奈良旅日記全行程は昨日の日記で6を数え、無事に大円団を迎えたのですが、番外編というか、最後にもひとつだけ(笑)

じつは、火曜と水曜に奈良旅を敢行したあとのその週の日曜、も一度、奈良を訪れたのでした…。
仕事だけどね。でも、寧楊さんやずんずんさんと合流して、そのときも燈花会に行ったり、ぱなぬふぁさんに教えてもらった、ならまちのオン・ザ・ロード・酒場にも再び行ったりもしたのですが、どーせなら、興福寺の阿修羅像を見ておこう!と。

こないだの奈良旅のとき、相方さんがね、オレが奈良に到着するまでのあいだに興福寺の阿修羅像にご対面してまして、それがまたそそる日記だったのですよ。

相方さんの阿修羅日記もどうぞ。


きっと、むかしに見ているような気もするのだけれども、ほとんど記憶にないし、一度は見ておきたい仏像だったので、これを機会に、ってことで。

しっかし、阿修羅像が収められている国宝感に入ってみると、ビックリしますよ。
さすがです。尋常じゃない仏像が、ゴロゴロしてます。
焼き肉と寿司と鍋を同時に出されたくらいの、むちゃくちゃな満腹感がありますわ。
持っとるなあ、と(笑)

阿修羅像は、もちろん、写真では何度も見ているし、頭にも焼き付いている像ではありますが、こうして現物と相対すると、見れば見るほど不思議な像です。

よく言われるように、お顔は、憂いに満ちた、泣きそうなのをこらえているかのような…、自我が芽生えはじめて、正義感を持つようになり、社会の現実と理想のギャップに苦しんでいるかのような…、あ、ロックンロールだわ!
ふと思いましたが、これ、ロックンロールの具現化ですね。
淋しんぼうのくせに、世界に対してあっかんべーをして、でも、誰よりも世界を愛しているし、世界に愛されたいと思っている人…、そういう、ロックンロールの持つ憂いが、ここからは見てとれます。

阿修羅像って、普通は、荒々しい怪物のような神です。
京都の北野天満宮にある北野天満宮縁起に描かれている阿修羅が有名なのですが、それを見ても、やはり荒ぶる神です。
天にかざした上段の腕は月と太陽を持ち、中段の手は弓と矢を持ち、下段の手は胸のまえで合掌している。
夜と昼を支配し、修羅に君臨する神…、そういう神さまです。

のちに仏教に帰依し、八部衆のひとりとなるのですが、そういうことを考えると、三面六臂のこの像の、6本の腕は、6本の腕があるというよりも、時間の経過を表現しているようにも思えます。

その阿修羅が、ここではなぜ少年として造形されているのか。
この像は、光明皇后が亡き母を弔って建てた西金堂に安置されていたといいますが、その直前、光明皇后は、ひとり息子を1歳で亡くしています。
西金堂が建立されたとき、亡くなった息子が生きていれば8歳です。
ということは…、この阿修羅像は、亡き息子を思ったものか、と、いろいろと想像は膨らみます。

そういうことを妄想したくなるほど、この像は、とても人間的なお顔をしています。
現実の人間を重ね合わせることが出来る造形なんですね。

さらにいえば、この像は、出来た当初、髪は金色、身体は赤く色付けられていたといいます。
異人さん、ですね。

当時、天平の時代は、一大国際都市であった唐の長安と盛んに交流を深め、この奈良の地も、国際都市の様相を呈していました。そのせいで、最新の仏教が入ってき、正倉院に収められているような世界中の宝物が、この地にもたらされました。

なら、異人さんの子供がいても、不思議ではないですね。
赤い肌を持つ金髪の紅毛人が、この地で舞い、歌を歌っていた風景は、日常としてあったのでしょう。
阿修羅という異人の神を表現するにあたり、そうした異人のお子らをモデルとし、さらには光明皇后の亡き息子を重ね合わせた…、そんなふうに、オレは思いますね。


ちなみに、阿修羅像だけが単体で安置されているのではなく、阿修羅が属している八部衆(仏教に帰依した、ヒンドゥの神が8人ですな)のすべてが、ここではコンプリートされて安置されています。

天を司る、頭に象の冠をかぶった五部浄像。
雨を司る、頭上にコブラを立てた沙羯羅像。
水を守り、死者の魂を吸う悪鬼でもある鳩槃荼像は、髪が燃えています。
笙を吹き、音楽で供養する乾闥婆像は、頭上に獅子の冠をかぶっています。
毒や煩悩、害を与える一切の悪を食いつくす迦楼羅像は、鳥頭人身です。
毘沙門天の家来であり音楽を司る緊那羅像は、一角の鬼の姿をしています。
ニシキヘビを神格化した畢婆迦羅像は、音楽を司り、横笛を吹いています。

阿修羅像に加えて、これらの像が勢揃い☆
8体すべてが並ぶさまは、壮観ですぜ!

さらに、見事な千手観音さんもいらっしゃり…、まじ、ごちそうのてんこ盛りで、さす国宝館と謳うだけあって、ヤバいです☆



いや、いいもん見たな。
このあと、再び燈花会を楽しみ、帰阪後の深夜、扇町公園でペルセウス流星群を見たのでした。流れ星、3個発見。
終戦の日。鎮魂も込めて。


アイム.ロックンロール!
興福寺の阿修羅像のBGMって、これがベストだと思うな☆


『sunday morning』
The Velvet Underground

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