2007年7月31日火曜日

奈良で考えた、奈良に足りないもの。


今月は、仕事で、奈良に何度も足を運んでましてね。
都合、6回、奈良に行ったので、週1以上のペース。こんなに奈良に行ったのは、生まれて初めてかも知れません(笑)

えーっと、マイミクさんのgoutさんからホームページ作成のオファーをいただきまして、それでね、ちょこちょこ奈良に行ってました。

goutさんは、奈良で素敵な宿屋を経営されていて、熱のこもったサイトもつくってらっしゃったんですが、もちょっとスタイリッシュなものにリニューアルしたいってことで、なぜかオレにお声がかかったんですね。

まあ、そんなこんなでお手伝いすることになったんですが、当初考えていたよりも、なかなか険しい道のりでしたな(笑)

まず、奈良のことを、オレがよく知らないんですね。
なので、最初のうちは、何度デザインしてもしっくり来なくて…。
で、打開策が見つからないので、奈良に何度か足を運んで、奈良の空気を吸ってみたのでした。
goutさんにもいろいろと案内していただいて、奈良人による奈良の魅力を教えてもらったんですが、もちょっと客観的に外の目線から奈良を感じてみたくて、3回くらいは、ひとりで奈良をうろうろしてました。
他にめちゃくちゃな量の仕事を抱えていたのに、よくもまあそんな時間があったもんだけど。

役所にも行き、奈良関係の本も読みあさり、ネットで調べまくり…、実際に歩き、いやいや、おかげさんで奈良のことが少しはわかってきました。

現状、奈良の観光客は、年々下落傾向にあります。観光客数は、この10年で約1割減ですね。
関西の外から見れば、奈良も京都も似たようなもんかもしれませんが、京都は観光規模がべらぼうに大きいことに加えて、観光客は年々増え続けています。

観光客数の規模が違うのは、そのまんま、観光資源のスケールの違いによるところが大きいんだと思います。
京都には、観光スポットが無限にあると言っていいくらいにあります。
翻って、奈良には、大仏さんはあるけれども、それ以外のスポットとなると、多く見積もって40~50ヶ所くらいですかね。
さらに、京都の観光スポットは密集していて、交通の便もいいけれども、奈良のそれは広範囲に点在していて、交通の便も、いいとは言えない。

そういう違いがあるので、観光客数で勝負したら、奈良は京都に勝てません。これは、致し方ないところ。
問題なのは、奈良を訪れる観光客が、年々、減少しているってことですね。

これはどうしたことか。
このあたりのことを頭に入れておかないと、サイトのリニューアルなんてしても頓珍漢なものになるだけなので、この、観光客数が減少している理由はなんなのか、という課題を探るのに、かなり苦心しました。

念のために書いておくと、奈良には、素敵な場所がたくさんあるんですね。
これは行ってみてわかったけれども、京都にはない魅力的な場所、他の地方にはない魅力が、奈良にはたくさんあります。

それがちゃんと外に向かってアピール出来ているか。
出来ているとも言えるし、じゅうぶんではないとも言えます。
たとえば、金沢や札幌や宮崎並みには出来ているけれども、沖縄や京都ほどには出来ていない、ということです。
その意味で、県挙げての外に向けたアピールは、まだまだ余地があります。

ただ、金沢も札幌も宮崎も、観光客が減っているということは、ないんですね。
増えているか、横ばい。
でも、奈良は減っています。

そのあたり、いろんな資料を見たり、実際に歩いたりしてみて、ひとつわかったことがあります。
宿泊施設ですわ。
奈良は、どうやら、宿泊施設が貧弱ですね。
老舗の高級旅館はありますが、まず、今となっては、それほどご大層なものでもありません。
あとは、ビジネスホテルに毛が生えた程度のものが多いですね。

ここ何年も、ホテルも旅館も、リニューアルが大ブームじゃないですか。加えて、外資の進出。
おかげで、広い室内、充実したアメニティ、魅力的なプランを用意している宿泊施設は、目に見えて増えました。

そのあたり、奈良は弱いですね。
これは、案外と重要なファクターだと思いましたわ。
ちなみに、奈良県全体の宿泊施設のすべてを合わせた総部屋数は、全国で最下位です。
観光地として全国に名を轟かせてはいても、実際の宿泊施設は、どの都道府県よりも少ないです。

なにも、豪華な宿泊施設が建てばいいという話ではなくて(それについては、2010年に行われる平城遷都1300年のイベントに合わせて、いくつかの大型ホテルの進出が決定しています)、たくさんの宿泊施設が数多く建てばいいということでもなくて、いろんなニーズに対応するだけの宿泊施設がそろってないことが、やっぱ、厳しいかな。

たとえば、京都だと、小さくはあるけれども、町家を改造した風情のある宿が、いくつも出来ています。
あるいは、超格安のゲストハウスもあれば、超高級旅館があり、大型ホテルも老舗のホテルも健在です。宿坊なんてのも、あります。
今、旅のスタイルは、かつてないほど多様化しているのに、奈良の宿泊施設は、そこに対応出来ていないんですね。
そのあたりが、メディアや代理店が、奈良をアピールする材料を持てていない原因かな、と、思ったりもしましたわ。

その意味で、goutさんのお宿というのは、なかなかユニークでして、既存の宿泊施設に収まらない様式なんですね。

そこが、goutさんのお宿の、今の奈良にはそこにしかない、魅力になっているんですね。

着眼点がそこらあたりに定まったとき、サイト制作が急ピッチで動き出しました。

このサイトで押し出しているポイントは、
・他にはないユニークな宿ですよ、こんな宿ですよ
・奈良って、あんまり知られていない素敵なスポットがたくさんありますよ
の2点です。

この2点を中心に、必要な情報を周辺に配置してあります。

そういうことを感じてもらえたら、このサイトは、成功です。
このサイトをご覧になって、奈良の魅力を発見してみてください。そして、goutさんのお宿の素晴らしさを感じてみてください。

サイトのリニューアル版は、つい先ほどオープンしました。


じつは秘かにつくった裏サイトもありまして(笑)


今日は、昨日の余波で、サルサを聞いてました~。


Fania All Stars / Anacaona